とぷすけの書斎

障子を開けてみよ、外は広いぞ。

カテゴリー: PC技術

  • 別観点からDLSS 5を批判する

    先日NVIDIAの開発する「DLSS」の最新バージョンが発表された。

    バイオハザード レクイエムでの実装例

    さて、この手の話題に詳しい方ならもうすでに分かっていると思うが、絶賛炎上中だ。

    具体的にはゲームに「AIフィルター」をかけるのはコンテンツクリエイターや、CGクリエイターに対する冒涜であるというものだ。

    これに対してNVIDIAのCEOは「コンテンツクリエイターが自由にコントロールできるものである」として反論した。

    まあここまでの流れは皆さんも理解していると思うが、私としてはこれまでの批判に加え、別の観点からこの技術を批判したい。

    それは

    明確なビジュアルの変更を含む技術を自社GPUのみで使用するのは表現の幅を狭め、ゲーム産業を破壊する

    ということだ。

    まず、DLSSはNVIDIAのGPUでしか使えない。そのうえで、「レンダリング」という極めてビジュアルに大きく関係する箇所にこの技術を使用するのは今後のゲーム開発に重大な影響を及ぼしかねないと思う。

    DLSSが出てからどうだろうか。AIによるフレーム生成により最終的なFPSは増加した。しかし実際には半分のFPSしか出ておらず、DLSSに頼り最適化を怠るのではないかという懸念がある。

    実際に特定のゲーム(名指しするならモンハンワイルズ)で最適化が圧倒的不足している事象があるだろう。

    さらに、RadeonやIntel Arcでこれらの機能が使えないことも大きな問題点だ。

    Steamハードウェア&ソフトウェア 調査によれば、現時点でのNvidiaGPUの使用率は73%であった。(今月は84%であったが中国の春節の影響が多くみられるため先月の割合を参考とする。毎年この時期はNvidiaGPUのシェアが高くなるとともに中国語のユーザーが以上に高くなる)

    Steamハードウェア&ソフトウェア 調査: February 2026より

    この技術は27%のゲームユーザーに対し劣化したグラフィックを提供することを意味する。

    フレーム生成に至ってはFSRで実装できたものの、このようなゲームの中核に自社技術のAIを用いるのはNVIDIA以外のGPUを使っているユーザーをないがしろにしている。

    実際にはこの技術を使うかどうかは自由である。しかしDLSSがもたらした最適化不足を見たものとして「これ前提」で作るのはゲーム制作の技術を後退させるだけでなく、市場の公平性からみても危険であると言わざるを得ない。

    さて、とどのつまり

    クリエイターがこの機能を積極的に使用するのは危険である

    ということだ。「革新的なグラフィックを提供できるよ(NVIDIA専用でね!)」なんて言っているNIVIDAには強い懸念と疑念を抱かざるを得ない。

    これで本当に革新的だと思っているのなら自惚れも大概にしてほしいものである

    実際この機能の行きつく先はどうなるのだろうか。今後の動きも注視したい。

    さて、今日はこのへんで。

  • LFM2.5を使ってみよう

    LFM2.5について

    みなさんは「LFM2.5」をご存知だろうか。これはAIモデルで、特に1.2Bという極めて軽量なモデルである。

    公式サイト
    https://www.liquid.ai/blog/introducing-lfm2-5-the-next-generation-of-on-device-ai

    1.2Bがどのぐらい軽いかというと、現代のコンピュータであればノートPCでも問題なく動作でき、スマートフォンなどでも動作するレベルの軽量性である。

    なおこのLFM2.5が公開されたのは1月5日であり、最先端の軽量AIモデルである。

    公式サイトより

    上の画像はAMDのRyzenとSamsungのGalaxy S25 Ultraで他のAIモデルと比較したグラフである。

    ここでの単位は「トークン毎秒」で数値が高い方が出力が速いということだ。その他のAIモデルと比べて速いのがわかるだろう。

    また、あくまで体感だがGPT3.5と比べても同じ精度で出力することができている。むしろこっちの方がやや正確かもしれない。

    LFM2.5を使用して「あなたを使ってできること」を聞いた

    この画像は完全にローカル環境で実行した画像だ。写っているのは一部分でもう少し長く出力された。

    生成終了までかかった時間は40秒ほど。実行環境はiMac late 2015(i5 5250U,8GB,オンボードGPU)だ。10年前の事務用PCである。しかも後ろで通話とネットサーフィンをしながら実行している。

    いかにこのモデルが軽量であるかわかると思う。


    インストール方法

    さて、インストール方法を解説しよう。ただ、軽量のAIモデルとは言っても最低限の性能は必要だ。とはいえ、相当前のPCでなければ問題ないだろうと思う。Windows11が入っているようなPCであれば問題ないだろう。

    まずは、LLMフレームワークが必要だ。筆者はOllamaを使っているのでその方法で進めよう。

    まずOllama公式サイトにアクセスし、自身の使用しているOSに合わせてダウンロードする。

    現在はWindowsでもGUIで使えるようだ。(古いバージョンではCUIのみだった)

    インストールが終わったらWindowsならコマンドプロンプト、Macならターミナルを起動する。コンソールウィンドウを開いたら

    ollama run hf.co/LiquidAI/LFM2.5-1.2B-Instruct-GGUF:Q4_K_M

    と入れよう

    なおこれはOllamaを使う場合でその他のフレームワークを使う場合は

    https://huggingface.co/LiquidAI/LFM2.5-1.2B-Instruct-GGUFへアクセスして「Use this model」を選択、各フレームワークの指示に従ってほしい。

    その後使用するモデルをLLM2.5に設定、「こんにちは」と入れてみよう。

    モデル選択

    どうだろうか。うまく動いただろうか。

    PCによっては読むのが追いつかないほどの速度で生成されるだろう。ぜひいろいろと試してみてほしい。


    なお余談だが、このLFM2.5は日本語特化モデル視覚言語モデル音声言語モデルもある。今回紹介したのは汎用モデルのinstructだがこれらのモデルも試してみると面白いかもしれない。

    ということで今回は軽量AIモデル、「LLM2.5」を紹介した。

    ではまた今度。

  • ゲームのグラフィック設定

    PCでゲームをやる人にとってグラフィック設定というのは切り離せない存在だと思う。

    ここでは汎用的なグラフィック設定の項目と負荷を集めた。

    ゲームタイトルによって負荷は異なるがあらゆるゲームのグラフィック設定の指針となるようここにまとめたいと思う。

    ゲームによって実装の具合や処理方法、設定項目の有無は異なるため、ぜひゲームの設定を変えて確認してほしい。

    見出しにグラフィック設定の項目名を書き、その下に他名称とおおよその負荷を記述する。

    解説は開閉で読めるようになるので詳しく知りたい場合はそれぞれの項目で開いてもらいたい。

    レンダリング精度

    画像はゲーム「原神」より AAなし 筆者撮影

    名称:レンダリング品質、オブジェクトクオリティーなど

    負荷:極大の影響を与える

    レンダリング精度:解説

    レンダリング精度はほぼすべてのゲームに設定項目があるといっても過言ではないぐらいどのゲームにある項目だ。画像を見てもらうとわかる通り、3Dオブジェクトの精度、細かさを左右する。ゲームによっては100%を超える数値が選べる場合もある。大きな違いを生むだけあってその負荷は極大であり、後述するアンチエイリアスを併用して調整する場合が多いだろう。

    アンチエイリアス

    同じく「原神」より 数字はレンダリング精度 筆者撮影

    名称:AA、処理の名称(TAA,FXAA,MSAA,SMAA,FSR,DLAA等)など

    負荷:大きな影響を与える

    アンチエイリアス:解説

    アンチエイリアスは簡単に言うと「ギザギザをなくす技術」である。レンダリング精度の画像と見比べるとよくわかる通り、0.6でギザギザしていた線がアンチエイリアスを滑らかになっている。
    この技術は一般にレンダリング精度を上げるよりかは負荷が軽いためよく使われる。難点としてぼやけて見えることがある
    名称の違いは処理方法の違いである。ここら辺の話は長くなるので割愛する。複数選べるものではそれぞれ試してみるとよい。また、動きに強いものや静止画に強いものなど技術によって得意不得意がある。

    異方性フィルタリング

    ゲーム「ゴーストリコン ブレイクポイント」より 画像はこちらから

    名称:異方性サンプリングなど

    負荷:小~中程度の影響

    異方性フィルタリング:解説

    異方性フィルタリングは「遠くにある急角度のテクスチャを自然に見せる技術」である。
    何を言っているのかわかりずらいと思うが、参考画像のオフと16を見比べてほしい。遠景のフェンスのクオリティがきれいなのが分かるだろうか。
    基本的には2の倍数で選択する。没入感を高めてくれるが、負荷もそれなりにあるのでうまく調整してほしい。

    アンビエントオクルージョン

    LearnOpenGLより

    名称:AO,SSAO,HBAOなど

    負荷:中~大きな影響を与える

    アンビエントオクルージョン:解説

    アンビエントオクルージョンは「環境光の影」を表現する技術である。
    光というのは、物体で反射し別のところにあたり反射し、というように反射を繰り返している。そして、さえぎられた場合そこに柔らかな影が生まれる。
    一般によく実装されるのはSSAOである。これはZバッファを使用して2Dへ落とし込んで処理を行うため高速に処理できる。
    この後解説する「グローバルイルミネーション」も深く関係する。

    グローバルイルミネーション

    右の壁は見切れているが緑色である。左は使用しなかった場合。wikimediacomonsより 左の画像 右の画像

    名称:GI,フォトンマッピングなど

    負荷:極大の影響を与える

    グローバルイルミネーション:解説

    光源は一つであっても反射し広がる。アンビエントオクルージョンでは環境光の影のレンダリングをしていたが、グローバルイルミネーションは影だけでなく環境光もレンダリングする。
    最近はやりのレイトレーシングの親戚である。(広義ではこれもレイトレーシングに分類されることがある)
    実装方法はいくつか種類があり、ラジオシティ法やフォトンマッピングなどがあるがどれも膨大な処理量を必要とするものであり、リアルタイムの計算は負荷が高い。
    そのため、限られた性能のハードウェアのみ有効化できるようになっているゲームもあるだろう。

    テクスチャクオリティ

    「Euro Track Simulator 2」より 画像はこちらから

    名称:テクスチャ品質など

    負荷:大きな影響を与える

    テクスチャクオリティ:解説

    3Dモデルに張り付ける「絵」のクオリティが変化する。ゲームの実装にもよるが低設定では気になることがあるかもしれない。負荷はまあまああるのでクオリティとフレームレートのバランスをうまくとってほしい。

    影のクオリティ

    画像はこちらから Unity 2018での比較の様子 左からハードシャドウ、ソフトシャドウ、解像度を上げたハードシャドウ

    名称:影の品質など

    負荷:大きな影響を与える

    影のクオリティ:解説

    見出しをどうつけようか迷った項目である。最終的に無難に「影のクオリティ」とした。上の画像を見てもらったほうが早いだろう。ゲームによってはもっと細かく設定できるのもある。影はプレイ体験に大きな影響を及ぼすので、なるべく高い設定にしたい。

    さて、こんなところでどうだろうか。今回はおおよそ多くのゲームにある設定を主観でピックアップしたに過ぎない。ほとんどのゲームでもっとたくさんの設定があるはずだ。ぜひ、ゲームごとに調整して、ゲーム体験をより良いものにしてほしい。

    少しでもこの記事が指針になれば幸いである。

    では、また。